■怖い不整脈の最新治療法「高周波カテーテルアブレーション」

外科的手術なしに根治が可能

 突然死に至ることもある不整脈の治療として、最近注目を集めているのが「高周波カテーテルアブレーション」だ。日本不整脈学会会頭で、狭山中央病院院長の田中茂夫氏が言う。
「不整脈の治療は主に薬物治療です。これは不整脈を根治させるものではなく、半永久的に薬を服用する必要があります。外科的手術を受ければ根治する可能性が高いのですが、患者さんの負担が大きい。“高周波カテーテルアブレーション”は、外科的手術を行うことなく、外科的手術と同等の効果、つまり根治が期待できるので、非常に注目が集まっているのです」
 一体どんなものなのか? 田中氏に聞いた。

●どんな治療法か?
「手や足などから細いカテーテルを血管に入れて治療を行います。カテーテルの先には電極がついていて、不整脈の原因組織に到達すると、高周波を流して60度以上の熱を発します。すると、カテーテルの先と接触している心筋が壊死します」
 つまり、不整脈のもとになっている部分の機能が失われ、不整脈を起こさなくなるということ。
 熱を発するのは30〜60秒で、不整脈のタイプによって変わる。

●治療中に痛みや不快感はあるのか?
「全身麻酔などはしませんが、痛みや不快感はほとんどありません。弱い鎮静剤を使って治療を行うことはあります」

●すべての不整脈にOKか?
 不整脈には、脈が遅くなる“徐脈性不整脈”と、脈が速くなる“頻脈性不整脈”がある。
「高周波カテーテルアブレーションが適応されるのは頻脈性不整脈です。頻脈性不整脈には、発作性上室頻拍や心房細動、心室頻拍など、いくつかのタイプがあって、高周波カテーテルアブレーションによる治療の成功率が高いものと低いものがあります。ただ、成功率が低いものでも、この治療を行うことで病状が軽くなる場合もあるので、医師と患者さんとの話し合いでどうするかを決めます」

●メリット、デメリットは何か?
 メリットは、治療が成功すれば根治が可能であること、手術より危険や患者の負担が少ないことだ。
「デメリットは不整脈のタイプによって成功率が異なることです。たとえばWPW症候群という不整脈は90%以上の確率で成功しますが、致死の可能性が高い心室細動などは成功率が高くありません。さらに、血栓ができるなどの合併症や、適切でない部分まで壊死させてしまうなどの危険があることです」

●入院は必要か?
「医師にもよりますが、高周波カテーテルアブレーションの治療の前に数日間入院して検査を受け、治療後も数日の入院で様子を見るのが一般的です」

●健康保険は適用か?
 適用される。
 この治療法は、大学病院ならたいていのところで行われている。もし不整脈を抱えているのなら、検討する価値がある。



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