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新しい近視矯正法の威力と危なさ

オルソケラトロジー

 米国発の近視矯正法「オルソケラトロジー」をご存じか? 効果が注目される一方で、専門医から注意を促す声も上がっている。利点と注意点をオルソケラトロジーに詳しい吉野眼科クリニック・吉野健一院長に聞いた。

 オルソケラトロジーは、特殊な形状のハードコンタクトレンズを睡眠中に装着すると、目の屈折異常が一時的に除去、あるいは軽減し、日中の裸眼視力が向上するというもの。メガネや近視用コンタクトレンズを装用しなくてもOKになるのだ。
「私が治療を行った66例の結果は、近視の度数がマイナス4D以下で70%以上が視力0.8以上に、65%の患者さんは1.0以上に上がりました。視力不良や異物感などにより、レンズ装用を断念した人は4〜16%いたという事実もあります」
“D”は屈折力(屈折の度数)の単位で、数字が大きいほど屈折が強い。“マイナス4D以下”は、マイナス3D、2D……などで、軽度から中程度の近視だ。
“オルソ”は、始めて2週間ほどで効果が出る。レンズ装着後、徐々に視力が向上していく。
「逆に、レンズ装着をやめれば視力は徐々に下がり、元の近視に戻ります」
 比較的早く効果が表れ、やめたいときにはすぐにやめられるのは利点だ。

 しかし、注意点もある。“オルソ”は、日本では未承認治療で、レンズメーカー4社が大学病院8カ所で治験の最中なのだ。吉野院長は、この治験の1社に対するメディカルアドバイザーを務めている。
「未承認なので、確立した治療指針がない。眼科以外の医師や、眼科医であってもハードコンタクトレンズをほとんど扱ったことがない医師が、治療を行っているケースもある。本来は対象外の人にも処方されていて、効果がほとんどないばかりか、角膜に傷がつき、角膜感染症などの重い合併症を引き起こした患者さんもいます。最悪、失明する危険性もあるのです」
“本来は対象にならない人”とは、強度の近視。“オルソ”が向くのは軽度から中程度の近視だ。
 専門医以外が行うことの弊害はまだある。
「オルソケラトロジーは患者さんの角膜に合わせて微妙な調節が必要です。具体的には、Aのレンズでは視力が向上しなくても、微妙に形状が違うBのレンズを使えばうまくいくこともある。これは、オルソケラトロジーに詳しい専門医でないと処方できません」
 小児や学童への近視進行を予防する効果や、安全性は確認されていないのに、それを売りにしている医師も多い。
「とにかく使用は慎重にした方がいい。できれば承認が下りてから、どうしても今すぐにという人は、コンタクトレンズの経験が豊富でオルソケラトロジーの知識が深い眼科専門医にかかるべきです」
 値段は両目で15万〜40万円だ。




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