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早めのインスリン注射で糖尿病は克服できる


「糖尿病と診断されたらためらわずにインスリンを打つべきです」
 こう言うのは糖尿病専門医として27年間に延べ10万人以上の患者を診てきた牧田善二・AGE内科クリニック院長だ。
 インスリン治療というと、食事療法、運動療法がうまくいかず、インスリンの分泌を促す血糖降下剤投与でも治らないときの“最後の手段”とのイメージが強いが、それは大間違いだという。牧田院長に聞いた。
「糖尿病はインスリンが出なくなるか、効き目がなくなることで起きます。それなら、副作用の危険があり効果もハッキリしない血糖降下剤で、くたびれたすい臓からインスリンを無理やり出させるのでなく、インスリンを体外から補給すべきです。副作用なしに血糖値は確実に安定します。その間に食事や運動で摂生すれば、ヘモグロビン(Hb)A1cなどの血糖値が正常値に戻り、その後はインスリンは必要なくなるのです」

 インスリン注射を打ちながら、食事や運動で血糖降下効果のより高いものを探し、マイナスのものを避けるようにする。やり方はこうだ。
「医療機関で1万円前後で手に入る血糖値自己測定器を使って、食事の前後の血糖値を測ってください。そうすれば、何が自分の血糖値を上げる食べ物かがわかるはず。例えば、そばやご飯などの炭水化物は“危ない”と実感できるし、アルコールもビール以外ならOKだとわかります」
 運動についても、食事の1時間後に最低20分散歩すると効率的だとか、自転車より散歩の方が血糖値を下げることなどがわかる。
 実際、60代のある男性患者は、糖尿病と診断されてすぐにインスリン注射と食事・運動による摂生を開始。11.5(正常値5.8)だったHbA1cの値は、5カ月後には正常値の5.7に。その後はインスリンや薬と無縁の生活を送っている。保険が利くので治療費もこの間、6万円弱(3割負担)だった。
 注射も、今は痛くない注射針が開発され、病院で15分も習えば自分で注射を打てるから、毎日通院する必要もない。インスリンの種類も、1日1回で済むタイプや食事直前に打てばいいなどいろいろあり、生活スタイルに合わせて選べばいい。
 糖尿病克服にはこういう選択肢もあるのだ。




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