歯ぎしりが引き起こす病気&症状


思いもよらないことが…

「朝起きたら、あごが痛い」「家族に“歯ぎしりがうるさい”と言われた」――。あなたは、こんな経験をしたことはないだろうか。歯ぎしりは夜だけでなく昼でもしていて、緊張したりストレスが多いとその頻度が高くなる。そのとき歯にかかる圧力は、食事や踏ん張るときの数倍に上るという。知らずに続けていると、意外な病気を引き起こす。

●歯周病
 40歳以上の8割がかかっていて、糖尿病や心筋梗塞などの重大病を引き起こす。原因は歯の磨き残しと思われているが、歯ぎしりもそのひとつだという。片平歯科クリニック(東京・新宿)の片平治人院長が言う。
「強く歯をかみ合わせたり、横にぎしぎしすり合わせると、歯に異常な圧力がかかってグラグラ動き、根元に炎症を起こしたり、細菌感染しやすくなります。その結果、歯周病が発生しやすくなるのです」
 磨きにくい親知らずではなく、その手前や糸切り歯の隣の歯が歯周病と思われるときは、歯ぎしりを疑った方がいいそうだ。

●知覚過敏
 冷たい水がしみる歯の知覚過敏は、歯ブラシの横磨きで、歯茎が短縮して歯根が摩耗すると考えられている。
「それも原因のひとつですが、歯ぎしりによる応力が歯と歯茎の境目に集中、歯がV字状にへこんでしまうことの影響も無視できません。これを楔上(くさびじょう)欠損といいます。歯の表面のエナメル質が削れて中の象牙質が露出したため、冷たい水がしみるようになるのです」(八重洲歯科クリニックの木村陽介院長)

●顎関節症
 日頃から歯ぎしりしている人より、たまにする人の方がなりやすい。国際医療福祉大学口腔外科の朝波惣一郎教授が言う。
「歯ぎしりをすると、頬骨の下にあり下顎を上に引っ張る咬筋(こうきん)や、こめかみから耳にかけて広がる側頭筋などに負担がかかります。いつも歯ぎしりしている人はその筋肉が鍛えられているので平気ですが、そうでない人はすぐに痛めてしまい、顎関節症になるのです」
 この病気になると、口が痛くて開けられず、食事ができないなど顎の周囲に異変が起きる。
「ときには耳鳴りや目の疲れ、めまいなど全身に不調をきたすこともあります。要注意です」(朝波氏=前出)

●肩凝り
 顎関節症と違って、咬筋などに長い間、負担をかけた結果、背中から首の表層にある僧帽筋を緊張させて発症するのが肩凝りだ。
「歯ぎしりは、左右どちらかで起こることが多く、音も出なくて自覚もないケースもあります。肩凝りがひどく、左右の頬の大きさに違いがあるとか、左右で歯の治療状態に差があるとかすれば、歯ぎしりによる肩凝りかもしれません」(黒川歯科医院・山本共夫院長)
 たかが歯ぎしりなどと軽く考えてはいけないのだ。


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