止めるとヤバい下痢がある
一刻も早く下痢止めを使いたいが…
だれだって、下痢をしたら「一刻も早く止めたい」と思う。しかし、むやみに止めると、体に悪い下痢があるのをご存じか?
「下痢は症状が約3週間以上続く“慢性タイプ”と、突然始まる急性タイプに分かれます。問題は感染性の急性タイプで、下痢止めなどを安易に使ってはいけません。下痢はウイルスや細菌などの毒物を早く体外に排泄することで、体を守ろうとして起きるからです」
こう言うのは便秘・下痢に詳しい鳥居内科クリニックの鳥居明院長だ。では具体的にどんな下痢は止めるとヤバいのか。
「例えば、食中毒などウイルスや細菌の感染で起きる下痢です。発熱や腹痛、吐き気、嘔吐などを伴うのが特徴です。風邪による下痢もそうです。これらの下痢を下痢止めなどで我慢していると、細菌やウイルスがなかなか体外に出ず、食中毒や風邪の症状が悪化する場合があるのです」(鳥居院長=前出)
暴飲暴食による下痢、冷たい牛乳を飲むと起こす下痢、特定の食品で起こすアレルギー性の下痢、お酒や脂っこい食事を取ると起きる下痢など、発熱を伴わない急性の下痢も無理に止めてはいけない。サラリーマンの病気に詳しい弘邦医院の林督元・院長が言う。
「この手の下痢も、腸を刺激する原因が体外に出ていけば治まります。下手に抑え込もうと薬を多用すると、下痢が長引き、治っても腸の働きが悪くなり、腸内細菌のバランスが悪くなって全身の免疫力が低下し、がんなどになりやすい体質に変わることも考えられます」
急性の下痢の対処法は、常温のスポーツドリンクを小まめに飲んで、水分、塩分、ミネラル分を補給すること。ただし、飲みすぎは逆に下痢が悪化するので要注意。冷たい飲み物も逆効果で、腸壁などが刺激され、水分の吸収などが悪くなって、下痢が続くことになる。
「下痢の最中は食欲があっても固形物は食べないこと。できれば1〜2日程度は絶食する方がいいでしょう。どうしても食べたいときも、ごはんよりおかゆの方がいいし、肉は脂肪の少ない鶏のささ身や豚ヒレ、野菜は大根やかぶ、にんじんなど消化の良いものを取りましょう」(林院長=前出)
みぞおちからお腹全体に、使い捨てカイロを張って腸の働きを良くするのも手だ。
仕事などでどうしても下痢を止めなければならないときは、どうすればいいのか?
「重要な商談や会議がある日なら、朝から下痢止めを服用するしかありません。ただし、急な下痢には医師の診断を受け、原因にあった処方薬をもらうのがベスト。また下痢体質の人は、病院で診てもらった時に少し多めに薬を出してもらい、万一のときに備えておきましょう。下痢は、止める手段があると思うと気分的にラクになり、それだけで早く止まることもあります」(鳥居院長=前出)
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