貧乏ゆすりに健康効果

評判悪だが…

 膝を小刻みにゆする姿が、貧しくて空腹や寒さに震えているように見える――。そのいわれが示す通り、貧乏ゆすりはみっともなく、見た人を不快にさせる悪いクセだ。ところが、この貧乏ゆすりにさまざまなメリットがあることがわかってきたのだ。

●肥満予防
「肥満予防のために体をこまめに動かしましょう」とはよく聞くフレーズだが、貧乏ゆすりも肥満予防に効果があるという。
 世界保健機関(WHO)は、肥満予防のため、1日当たり200キロカロリー余計にカロリー消費するよう推奨している。海外のある研究によると、これは貧乏ゆすり2時間半に相当するというのだ。鳥取大学医学部健康政策医学講師の小谷和彦氏などが紹介している。
「私も貧乏ゆすりは何らかの肥満予防効果はあると考えています。ただしカロリー消費量は体重に比例するので、外国人に比べて体が小さい日本人が2時間半で200キロカロリー消費するかは疑問ですけれどもね」(「弘邦医院」の林督元院長)

●冷え性の解消
 中京大学体育学部の湯浅景元教授が唱えていることで、実験で20代男性に3分間貧乏ゆすりを続けてもらったところ、ふくらはぎの皮膚の温度が1度上がったという。
「60〜80代の高齢者でも結果は同じでした。これはウオーキングを20分続けるのと同じということ。運動の代わりとはいきませんが、夏場クーラーの効いた部屋で長時間仕事をする人には、貧乏ゆすりが冷え性対策になります」(湯浅教授)

●エコノミークラス症候群の予防
 飛行機の窮屈な座席から立ち上がり、歩き出したとたんに胸が苦しくなり倒れてしまう。時には死亡することもある怖いエコノミークラス症候群だが、貧乏ゆすりはこれも予防してくれるという。
「エコノミークラス症候群は足の血流が滞るために起きる病気です。貧乏ゆすりは、足の筋肉を小刻みに揺らして拡張・収縮させ、血流を促す。そのため、椅子から立ち上がったからといって血液が急に流れて、心臓に負担がかかる可能性は少なくなります」(林院長=前出)

●大脳のストレス解消
「貧乏ゆすりは、アイデアを考えたり、会話の途中で言葉を思い出そうとするときに、腕や首を回すなど無意味な動きをするのと同じです。大脳のストレスを解消することで、脳の動きをスムーズにし、アイデアや言葉を思いつかせる働きがあるのです」(国立長寿医療センター研究所の中村昭範脳機能再生研究室長)
 やめたいと思ってもやめられない厄介な貧乏ゆすりが“健康ゆすり”と言われる日も近い?



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