世界標準の抗がん剤を個人輸入する方法と値段


「治療法はもうありません」――。医師にそう宣告されたがん患者が最後にすがるのが未承認抗がん剤の個人輸入だ。
「余命3カ月と診断された60歳の末期の肺がん患者が、ある未承認抗がん剤を使ったところ、2カ月でがん細胞が縮小し、4年経った今でも元気に働いています」
 こう言うのは首都圏のある開業医だ。主に代替医療を利用したがん治療を行っているこの病院では、患者向けにがんに関する海外の最新治療や世界標準の抗がん剤情報を紹介している。それをもとに会員が個人の責任で未承認抗がん剤を輸入、延命に成功したケースがいくつかあるという。
 未承認抗がん剤の個人輸入というとなにやら怪しげだが、法律に触れることはないのか?
「麻薬や向精神薬はダメですが、海外医薬品は患者本人が使用するのを目的に、1カ月分なら医師の処方箋なしで輸入できます。2カ月分以上でも医師の処方箋と、販売や譲渡しないことを証明する薬監証明を地方厚生局(全国に3カ所)で取っていただければ結構です」(厚生労働省医薬食品局監視指導麻薬対策課)
 実際に個人輸入するには、海外の製薬会社に直接交渉したり、主治医に頼んで治療用として輸入してもらうなどいくつかの方法がある。しかし、最近では個人輸入代行サービス会社へ依頼するのが一般的だ。医療ジャーナリストの松沢実氏が言う。
「どの代行会社がどんな抗がん剤を扱っているかは、ネットで検索すればわかります。もちろん、患者やその家族が個人輸入できますが、代行会社のなかには医師の依頼しか受け付けないところも少なくありません。ただし、その場合でも了解の得られる医師を紹介してくれる代行会社もあるので、自分の主治医が未承認薬の個人輸入に反対でも薬を手に入れることはできます」
 依頼する代行会社が決まったら、電話やファクスなどで正式な注文をする。注文書などの書類に書き込み、代金を振り込むと、1〜2週間後に国際郵便などで医師もしくは自宅に届く。
 意外に簡単に未承認抗がん剤は手に入るが、難しいのはここからだ。がん治療に詳しい「銀座東京クリニック」(東京・中央区)の福田一典院長が言う。
「多くの抗がん剤は副作用がつきものですが、内服薬の場合、インターネットなどの情報を頼りに自分の判断で未承認医薬品を使用している患者さんも見受けられます。通常医療から見放された“がん難民”という問題もありますが、これは非常に危険です。未承認抗がん剤に精通した医師に、治療を依頼することが不可欠です」
 費用も気になる。個人輸入の未承認抗がん剤の治療を受けると、治療以外の検査費用、入院費用も全額自己負担になりかねない。日本の保険制度では保険適用外の薬を使った治療では、混合診療が原則認められていないからだ。
「すべて自由診療だと月100万円以上かかる場合もあります。それを避けるには個人輸入の未承認抗がん剤による治療を、入院中や受診中の病院とは異なるところで受ければいい。もちろん、両者の医師同士の密接なつながりは不可欠ですが、異なる病院で未承認抗がん剤の治療を受ければ、その分だけ自己負担すればいいからです」(福田院長=前出)
 主治医から見捨てられても、知恵さえあれば、がんと闘う手段はあるのだ。

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