これが鈍いから生活習慣病になる


 高血圧や糖尿病などの生活習慣病対策には「薄味の食事」が不可欠だが、実行は難しい。しかし味覚を“敏感”にすれば、薄味でも十分に満足できるようになるのだ。むしろ濃い味がつらくなる。そこで味覚を敏感にする具体的な方法を、味覚異常の治療を積極的に行う神尾記念病院の神尾友和院長に聞いた。

 まずは自分の味覚のチェックだ。「焼き魚にしょうゆをたくさんかけて食べる」「漬物にしょうゆをかけて食べる」「そばやうどんに七味唐辛子をたっぷり入れる」「食べ物を薄味に感じることが多い」の4つのうち、1つでも当てはまる人は要注意。味覚が鈍っている可能性あり。では、具体策だ。

●唐辛子を極力使わない
 塩味や甘味、酸味などの味を感じるのは舌の粘膜にある「味蕾(みらい)」だ。味蕾の数が多く、活発に活動しているほど“敏感な舌”。一般的に20歳で8000〜1万個あり、年と共に減っていく。高齢者になると健常な人で6000個くらいになるといわれている。
「ところが30代や40代でも、5000個くらいしかない人もいます。つまり高齢者と同じくらいの味覚しかないのです。その原因のひとつが唐辛子などの辛い食品です。これらの食品は刺激が強く、舌にヤケドを起こさせるのと同じです。味蕾が障害を受け、活動が弱まったり、死んでしまうものもあります。一度死んだ味蕾は二度と元には戻りません」
 味蕾の弱まった活動を高め、加齢のスピード以上に死んでいくのを阻止するには、唐辛子などを使った辛い食品を避けること。「うどんやそばには必ず七味唐辛子をかける」「韓国料理や、中華の四川料理などの激辛料理を頻繁に食べる」という人は、今すぐ改めよう。

●マヨネーズを減らす 
「マヨネーズも味蕾に悪影響を与えます。特に苦味が分かりにくくなります」
 食品が持つ苦味が分からなくなれば、素材そのもののおいしさが分からず、やはり味付けを過剰にしてしまい、塩分、糖分などの過剰摂取につながる。少量なら問題ないが、「野菜にたっぷりマヨネーズをかける」「焼きそばにマヨネーズをプラスする」など、頻繁に多量に使うのはやめる。

●亜鉛を積極的に取る
 味蕾の新陳代謝をよくするのが亜鉛だ。
「亜鉛が不足すると味蕾の働きが悪くなり味覚障害の原因になります。亜鉛の多い食品を積極的に取るようにしてください」
 1日15ミリグラムが亜鉛の摂取量の目安。カキ、ノリやワカメなどの海藻類、納豆、緑茶、牛レバーなどに多く含まれている。不足分はサプリメントで補うのも手だ。

●加工食品を避ける
 加工食品に含まれている食品添加物が問題だ。
「亜鉛などの味覚に関係した栄養成分を壊してしまうのです。ただでさえ現代人の食生活は亜鉛が不足しがちなのに、それにさらに拍車をかけているのです」

●旬の素材を取る
 旬の素材は亜鉛をはじめとする栄養成分が豊富で、素材そのものの味も濃いので過剰な味付けは不要だ。これらの食品を積極的に取ることが、味覚を正常に保つことになる。
 早速今日から始めよう。

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