この食べ物、飲み物と一緒に取ると危ない
薬が効き過ぎたり効かなくなったりする
高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病で、医者からもらった薬を毎日飲んでいる人は多い。ところが、それぞれの薬には“相性の悪い”食べ物や飲み物がある。一緒に取ると薬の効果を強めて効き過ぎたり、逆に弱めてあまり効かなくなったりするのだ。薬の重大な副作用の原因になることもある。横浜市・東山田クリニックの柳川明院長に聞いた。
●心筋梗塞・脳梗塞の薬と納豆、キャベツ、カブ、カリフラワー、タマネギ
心筋梗塞や脳梗塞などのときに使うワーファリンは、ビタミンKの働きを抑えて血が固まるのを防ぐ薬だ。ところが納豆には大量のビタミンKが含まれている。
「一緒に取ると、薬の効き目が悪くなり、心筋梗塞や脳梗塞が再発する危険があります。納豆ほどではないが、キャベツ、カブ、カリフラワーにもビタミンKが多い。一緒に取るのは避けた方がいいでしょう」
逆に、一緒に取ると薬の効果が強まって効き過ぎるのが、タマネギだ。
「効き過ぎる結果、最悪の場合、脳出血を起こしたり、吐血や下血が起こることがあります」
〈病院の処方薬ではワーファリンのほかにアレファリン、ワルファリンKなど=以下同じ〉
●高血圧の薬とワンタン、肉
尿を出して血圧を下げる降圧利尿薬は、ワンタンに多く含まれているグルタミンソーダと相性が悪い。
「一緒に取ると、頭痛、胸のほてりや痛み、手足の焼けるような感じが起こってくることがあります」
ワンタンスープを飲んだ後に降圧利尿薬を服用するのはやめた方がいい。
〈フルイトラン、ナトリックスなど〉
同じ降圧薬でも、β遮断薬のプロプラノールは、肉などの高タンパク食品との相性が悪い。一緒に取ると血液中の薬の濃度が2、3倍になり、血圧が下がり過ぎることがある。
●糖尿病の薬とアルコール
アルコールと糖尿病の薬を一緒に飲むと、アルコールの酔いが非常に強くなって悪酔いすることがある。また薬が効き過ぎて低血糖になることもある。
〈ラスチノン、ジメリンなど〉
●高脂血病の薬とグレープフルーツ
コレステロールを下げる薬のリピトールやリポバスは、グレープフルーツと一緒に取ってはいけない。
「グレープフルーツの苦味成分が、薬物を無毒化するある代謝酵素の働きを妨げて、横紋筋融解症を起こすことがあります。足がつる、筋肉が溶けて赤いおしっこが出るなどの症状が出ます」
グレープフルーツジュースで薬を飲む愚は絶対に避けよう。
●痛風の薬とビール、干ししいたけ、鳥レバー、枝豆
薬で尿酸値を下げようとしても、プリン体の多い鳥レバーや枝豆を肴に、同じくプリン体の多いビールをガバガバ飲めば、尿酸値は下がらない。
これから暑くなる夏にかけて、アルコールを飲みすぎて痛風発作を起こし受診する患者が増えてくるという。
「各薬を飲むのと、問題の食べ物、飲み物を取る時間は、最低でも2、3時間はあけてほしい」
飲み食いでせっかくの薬の効果を台無しにしたり、“被害”を受けるのはバカげている。そんなことにならないために、最低限これくらいのことは頭にたたき込んでおくことだ。
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