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慢性腎臓病が急増中

世界統計を上回るスピードで…

 腎臓は体内の水分バランスを調整し、老廃物を排泄するなど重要な役割を持つ。この臓器がヤラれると、生活の質がガクッと落ちるが、いま慢性腎臓病の人が急増している。それも世界統計を上回るスピードだというのだ。原因は何で、どうすれば予防できるのか? 順天堂大学医学部腎臓内科の富野康日己教授に聞いた。

●日本人5人に1人は腎臓病
 慢性腎臓病は、少しずつ腎機能が低下し、最悪の場合は腎不全で人工透析を余儀なくされる厄介な腎障害の総称。腎硬化症や糖尿病腎症などがあり、腎機能のレベルによって、ほぼ正常なステージ1から腎不全のステージ5まで5段階に分かれる。中度のステージ3から重度の5までの推計発症率は、米国は約5%なのに、日本は約19%。実に5人に1人は、中等から重症の腎臓病にヤラれるというのだ。
「慢性腎臓病の基準は、米国の学会基準が世界標準ですが、日本人の腎機能の実情を正確に表しているとはいえません。ただ日本の透析患者数は毎年増加傾向で、05年は約26万人と、10年前より10万人も増えています。全体として慢性腎臓病患者が増えているのは間違いありません」

●肥満が腎機能を低下させる
 腎機能を示す血清クレアチニン値が基準値の1.0を超えても、自覚症状はほとんどない。悪くなって気がついても、後戻りできないだけに、悪化要因は押さえておきたい。最近は、肥満との関係が注目されている。
「肥満になると、糖尿病や高血圧、高脂血症を発症しやすくなりますが、これらは、慢性腎臓病を引き起こすリスクファクターなのです。慢性腎臓病の原因として多いのは、糖尿病と高血圧。また、もともと腎臓に病気がある人が、こうした病気を合併すると、より一層、腎臓病を悪化させます。慢性腎臓病は肥満の影響が大きいのです」
 琉球大の井関邦敏助教授の疫学調査によると、BMIの増加と腎不全発症者数は比例している。BMI25.5以上は、同21未満の3倍だ。

●対策は減量と血圧の管理
 予防には肥満解消が欠かせない。まず食塩やタンパク質、脂肪分を減らすことが大切だが、二の矢、三の矢も必要だ。
「血圧が高くなると、腎機能が悪化するので、血圧を130/80未満にしておくことが重要。食事の改善や運動でうまく血圧が下がらない人は、降圧薬を飲んで血圧を管理すべきです」
 160/100の高血圧を10年ほど放置したAさんは、血清クレアチニン値が1.4に上昇。腎機能が半減、その後透析寸前に追い込まれたという。高血圧などのリスク因子保有者は定期的検査が重要だ。
「リスク因子のある人は血清シスタチンCを測定すべきです。血清クレアチニン検査が一般的ですが、これは感度が鈍く、見落とす危険があります」
 生活習慣病というと、心筋梗塞や脳梗塞など血管障害が恐れられるが、腎臓のケアも重要なのだ。


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