■医者を真剣にさせる「自分カルテ」の作り方

余計な検査を省け誤診を防げる

 患者なら誰しも、より効果的な治療を、よりスムーズに受けたいと思う。しかし、あなたは医師に自分の症状や病歴などを正確に伝えているだろうか。もし、自信がないのなら、今すぐ「自分カルテ」を作ることだ。「最高の医療をうけるための患者学」の著者で、「テキサスMDアンダーソンがんセンター」准教授の上野直人氏に、「自分カルテ」作りのコツを聞いた。

「賢い米国人の患者は、自分の病歴・薬歴を記録した自分カルテを2通り持っています。ひとつはA4のペーパー1〜2枚で医師に手渡すもの、もうひとつはそれを作るための資料です」
「自分カルテ」のメリットは多い。それを見れば自分の症状を正確に医師に伝えられるから、医師が代わっても一から検査する手間が省け、スムーズに治療方針が決まる。
 しかも、日々、自分の病気の進行具合、医師の治療方針、投薬の種類や量をつけるので、万が一医師や薬剤師が診断や投薬量を間違えても、自分でチェックできる。
 では、自分カルテにはどんな情報を記入すればいいのか?

●医師歴
 主治医から過去に受診した医師の連絡先を聞かれることがある。そのため、キチンと記録を取っておくことが必要だ。
「歯科医も含めて最低、医師の名前、病院名、所属、病院の住所や電話番号、ファクス、医師個人のメールアドレスは必要です」

●薬歴
 医師から処方されている薬はもちろん、市販の薬やサプリメントもできるだけ記入する。
「現在飲んでいる薬と過去に飲んでいた薬は分けて書くこと。薬の商品名だけでなく、成分名も記入してください。どのくらいの量を飲んだのか、飲み始めた時期はいつか、なぜ飲み始めたのかも必要。なぜ飲まなくなったのか、誰に言われてやめたのかも正確に書き入れておきましょう」
 もちろん、副作用があればそれも書いておく。
●病歴
 いつ、どんな病名の病気にかかり、何が原因だったのか、どの医者からどんな治療を受けたのか、結果どうなったのかを書き留める。
「病名は診断名で記入することが大切です。例えば一般人にとって風邪は病名ですが、風邪という診断名はありません。その風邪がウイルス性なのか、細菌性なのかで診断名は違うのです。自分カルテは医師に自分の症状を正確に伝えるのが目的。医師にわかる言葉で書く必要があります」
 これだけ書き留めておけば医師も真剣にならざるを得ない。今日から医者任せはやめて、自分カルテを作り“賢い患者”になろう!




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